ジーンズが私の着こなしのベースであるので、カジュアルなスタイルで、テーラードジャケットを着る機会はほとんどありませんでした。そんな中、ブルネロクチネリのテーラードジャケットが素晴らしく、ジーンズの時でも着たいと考えて、春夏シーズン、MTMと言われるオーダーでジャケットを作り愛用しています。
ディテールや生地感なども素晴らしいのですが、サイジングが素晴らしく、私の体に合っているので着る機会も多く、ジーンズにテーラードジャケットを合わせるスタイルを楽しんでいます。今回はオーダーで仕立てたカヴァッロと言われるカジュアルなテーラードジャケットを紹介します。
ブルネロクチネリはフィールドジャケットの記事で紹介していますが、最初に購入したのは秋冬シーズンのコーデュロイで仕立てた既成のダブルのブレザーになります。(これもシーズンが来たら紹介します。)
このブレザーの購入で、ブルネロクチネリの製品の素晴らしさに触れた事で、ブルネロクチネリ銀座店にちょこちょこ顔を出すようになり、他のジャケットにも目移りして行きます。
私の担当をしてくれているスタッフさんから、うちのジャケットやスーツが気に入っていただけているなら、既成服も良いのですが、MTM(メードトウメジャー:オーダー)でジャケットを作ると、より満足度が高いですよとのお話しをいただきます。
担当のスタッフさんは、私の持っている服をどう構成していくかを良く考えてくれています。ブルネロクチネリのジャケットやスーツを後々いくつか揃えるなら、既成よりも体に合い、素材や型も好きなものを選ぶ事で満足度が高く、自然とMTMのジャケットばかりを着るようになるので、最初からMTMのジャケットを揃えていく方が、結果的にはお得(満足度の高さと着る機会の多さ)ですよとの話をいただきます。
そのお話しで、MTMのオーダーに俄然興味が湧き、ジーンズの時にカジュアルに着れる春夏のジャケットを作る事に興味が湧きます。興味がある事を伝え、春夏のジャケットのサンプルがお店に到着したので見せてもらい、ブルネロクチネリのジャケットの型がなんとなくわかり、これに好みの生地を選んでいくというオーダーのプロセスが見えてきたので思い切って、MTMをしてみる事にします。
MTMでジャケットを仕立てる為にブルネロクチネリ銀座店に伺います。
MTMをする上で、ジャケットの型を決め、生地を決め、ジャケットの細かなディテールを決めサイズを測ります。今回、頼みませんでしたが一緒にセットアップ用のトラウザーズも仕立てる事が出来ます。
私が選んだジャケットの形はCavallo:カヴァッロという形のジャケットになります。カヴァッロとは、イタリア語で馬を表し、馬に乗る際に着るジャケットの形で前傾姿勢を取るように形どられたジャケットになります。この形でアンコンストラクテッドと言われる肩パッドなどの芯地を入れずにリラックスしたカジュアルな作りになっています。
ここにディテールを決めていくのですが、シングルで3ボタン、ナローラペルで少し幅広の襟、袖4つのボタン、ホーン製のボタン、胸、脇ともパッチポケット、裏地はワインレッド、サイドベンツと、ブルネロクチネリでもカジュアルな型を選んで行きます。生地選びは悩ましいのですが、春夏シーズンなので、リネンベースの生地を選び、色は悩んだのですが、ジーンズに白Tシャツがメインになるので、少し濃いめのグレーにします。
そこから、サンプルで用意されたジャケットを羽織り、必要な首周りやウエストやバストなどのサイズを測り、サイズ取りの針をジャケットに入れて行きます。大体のサイズを測り、イタリア本国に計ったサイズと針を入れたサンプルジャケットを着た状態の写真を送り、イタリアのソロメオ村の職人さんが私のジャケットを仕立ててくれます。納期は約2月との事なので、楽しみに出来上がりを待ちます。
- 7種類のジャケットの基本的な型の中からオーダーする型を選ぶ
- シングルかダブルかを決める
- 襟の形を決める 今回は幅広なナローラペルを選択
- 胸と脇のポケットを決める 今回は3つともパッチポケットとしてフラップは無し
- ジャケットの型が決まったら、生地選び 今回はリネンコットンシルク、軽いネップのダークグレー
- 前見立の3つボタン、袖の4つボタンの素材を選ぶ 今回はアイボリーのホーンを選択
- 裏地の色を決める 今回はワインレッドを選択
- トラウザーズの有無を決める 今回はジーンズと合わせるので無し
以上を決め、専用のフィッターさんが、必要なサイズを測り、型とサイズの近いジャケットを着用し身体に合わせた形の針を入れた行きます。測ったサイズとサンプルのジャケットを着た写真をイタリアに送り、イタリアにて専門の職人さんが仕立てます。
完成は、約2月後
※MTMの料金は生地や型、ディテールにより変わります。目安は、既成ラインの気に入ったジャケットの約2割増しくらいになります。既成ラインの色が異なる生地や、既成ラインにはない面白い生地、見た目も質感も最高な生地など豊富な中から選べます。
ブルネロクチネリのコンセプトに、自然界にある色をベースにしていますので、ベーシックな色を初め、ビビットな色も少しくすんでいたりして、派手なようで収まりのいい生地が特徴です。
オーダーから2月後、イタリアから完成したジャケットが銀座店に届きます。最終的なサイズ合わせをこの段階でしますが、着てみたら、非の打ち所がない出来上がりで、直す事もない完璧な仕上がりです。
一点好みの問題で袖丈を少しだけ詰めるかといった話が出てきますが、リネンコットンの生地で、着ていくと袖にしわが出て袖丈が上がっていくので、その段階を見極めて袖詰めをどうするか決めた方がいいとのアドバイスを受けそのまま着てみることにします。
最終フィッテイングの際、担当スタッフさん、MTMのスタッフさん2名が立ち会ったのですが、肩から、胸周り、着丈、肩から背中のラインの綺麗さや、良く言われる、ハンドの手縫いがどう使われているかの説明を受け、既成とMTMの差を色々教えてくれます。
持ち帰り、実際に着てみると、とにかく動きやすく、自分が着ている姿は見る事ができませんが、胸の辺りのボリュームと短めの丈がちょうど良く、ジーンズの上に羽織ってもしっくり来ます。
今回撮影で自分が着ている姿を撮った写真を見て、スタイリングが綺麗な事も良く分かります。
ジャケットの作りの良さの一般的な評価に、後ろから見た際、肩からウエストあたりまでのシルエットが、どう綺麗に出せるかが一つの基準になっていますが、作ってもらったジャケットは非常に綺麗なラインになっています。
この日も海に撮影がてら着てきていますが、海辺でも快適で、あまりジャケットを着ている感覚がないくらい動きやすく、リネンながら、非常に柔らかい質感が楽しめます。私はジーンズに合わせる事が多いので、ラフに着崩すように楽しみますが、ラフに着ても、崩れすぎない絶妙なバランスを持っています。
定番はスリムフィットのジーンズとの合わせですが、54年の501XXにWhite'sのブーツを合わせています。
元々、春夏のジーンズの上にはカジュアルなパーカーやニット、ミリタリーやアウトドアなんかのアウターを楽に着る事が多いのですが、このテーラードジャケットはその感覚で着れて、自分が感じるより、しっかり見えている非常に優れたテーラードジャケットになります。
現在、もっと柔らかく、楽に着れるジャケットはあるのですが、ここまでのクォリティを持ち、しっかりと見えるジャケットはなかなかないのではないでしょうか。
素材がリネンコットンシルクで、ほとんどリネンとコットンなので、シワが出やすいのですが、私の場合、ジーンズと合わせて着るので、このシワの風合いも含めてラフにざっくりと着れる事も魅力です。これから、このジャケットをしっかり着込み、本当の意味で、私の身体に合わせていき、長く愛着の持てるものに育てて行きたいと考えています。
ブルネロクチネリの服は、最高の素材を最高の職人さんが仕立てて値段も高価になりがちですが、お客に合ったものをしっかり作り、長く楽しめるような提案をしっかりしてくれるので、私も年中買うことは難しいながら、機会があれば、是非ここの服を買って、楽しめればと考えています。
- 段返り3つボタンで開閉 パッチのスリットポケット、チケットポケットと胸にパッチポケット
- 袖口に4つボタン、使用可能なボタンホール キュプラ製半裏地
- ボタン式インナーポケット2つとペンホルダーポケット ドロップ 7 後ろ身頃にサイドベンツ
- 59% 麻, 40% コットン, 1% 絹
- ジャケット : Brunello Cucinelli サイズ46
- Tシャツ風ヘンリーネックのニット : TOM FORD サイズ46
- Denim : Levi’s 501XX 53Model ウエスト30inch:レングス32inch
- Boot : White’s
- 帽子 : Brunello Cucinelli
- 時計 : Rolex GMT Master 1675(1964)
- サングラス:TOM FORD
ジーンズがメインの私に、あまり興味のなかったテーラードジャケットですが、今回ブルネロクチネリのオーダーで作ったテーラードジャケットが予想以上にしっくりハマり、私のファッションのルールのようなものの幅が広がりました。
これは、靴にも影響していて、これまで、ローファーをジーンズに合わせる事はあまりしなかったのですがブルネロクチネリのスエードローファーも購入し、ブーツやスニーカーだけでなく、ジャケットスタイルの時はローファーも合わせて楽しみたいと考えています。
今回のMTMのオーダーで、私の考えを大きく変えたことに、これまで、服に自分を合わせていたような感覚からオーダーをすると言うことは、服を自分に合わせていく事でもあるということがわかり、今後、私の服を選んでいく時の考えを大きく変えた今回のテーラードジャケットをオーダーするという経験でした。今回の記事がカジュアルにジャケットを楽しみたいと考えている方の参考になりましたら幸いです。
Brunello Cucinelli Ginza Store
私のBrunello Cucinelliの商品は、Brunello Cucinelli銀座店で購入しています。
フィールドジャケットの記事でも述べていますが、商品やお店だけでなくそこに関わる人も含めて最高のお店ですので、一度足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
今回、MTMでジャケットを作りましたが、余った生地、同じボタンなどを、お店が管理し大切に保管してくれています。ボタンが取れたり、紛失したり、生地が少し傷んだなど愛用していく中で後の修理も心配なく、クリーニングもお店が腕のいいお店を紹介してくれたり、要望があれば、お店経由でクリーニングを頼めるなど顧客が長く大事に楽しめるような配慮もしっかりした体制で対応しています。
本当に良いものを長く大事に楽しみたいと言う方におすすめのブランドです。